
日本の春といえば、満開の桜を思い浮かべる人が多いでしょう。南から駆け上がるように順々に開花時期を迎えていく桜が北海道で咲き始めるのは、本州が初夏に差し掛かるころ。長く厳しい冬に耐えた桜は、素朴ながらも野趣あふれる北海道の春の風景をつくり出します。そんな北海道の桜を楽しむ名所12選をご紹介します。
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- 目次
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- 春の訪れを告げる花…北海道で桜が咲き始める時期はいつ?
- 本州の桜より鮮やか!? 北海道で多く見られる桜の品種は「エゾヤマザクラ」
- 北海道のお花見には「ジンギスカン」が主流
- 1.約1万本の桜がおもてなし「松前公園」【道南】
- 2.地上から空から桜を楽しむ「五稜郭公園」【道南】
- 3.19種類もの桜「森町・オニウシ公園」【道南】
- 4.歴史ある桜の名所「円山公園」【道央】
- 5.花のトンネルと化す「登別桜並木」【道央】
- 6.日本屈指の規模!「二十間道路桜並木」【道央】
- 7.自然とアートが融合「モエレ沼公園」【道央】
- 8.歴史的建造物と桜のコラボが楽しめる「中島公園」【道央】
- 9.札幌中心部のお花見スポット「大通公園」【道央】
- 10.ボートから桜を楽しめる「月寒公園」【道央】
- 11.約3,500本ものエゾヤマザクラは圧巻!「旭山公園」【道北】
- 12.遅咲きの桜の名所「清隆寺」【道東】
- 【番外編】電車と桜とのコラボレーションも必見!
春の訪れを告げる花…北海道で桜が咲き始める時期はいつ?
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1月に沖縄県で咲き始める桜は、南から北へ、低地から山へと日本各地で咲き進みます。これを「桜前線」といって、日本の人々は地元の開花時期を待ちわびます。
その桜前線が北海道に上陸するのは、例年4月下旬で、全道を通過するのにさらにそこから1カ月ほどかかります。積雪の多い北海道では平地でやっと雪が解けきった頃で、地上の草花も咲き始めの時期。ほかの地域では春爛漫のイメージの桜は、北海道では春の訪れを告げる花なのです。
本州の桜より鮮やか!? 北海道で多く見られる桜の品種は「エゾヤマザクラ」
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本州の桜を見たことがある人は、北海道の桜の風景に「なんだか、色が鮮やかな気がする」と思うかもしれません。それもそのはず、桜の品種が少し違うのです。
最もポピュラーなソメイヨシノの数も増えてきましたが、北海道で多く見られるのがよりピンク色の濃い「エゾヤマザクラ」。さらにこの桜の特徴として、咲き始めから赤い葉が一緒に出てくることがあり、より色濃く、野趣あふれるたたずまいとなります。
北海道のお花見には「ジンギスカン」が主流
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北海道民ももちろん、お花見が大好き。地域の桜が咲くと、お弁当ではなく炭火と肉を用意して、ジンギスカンを始めるのがもはや伝統となりつつある花見スタイルです。
例年、開花時期に大型連休が絡むところも多いため、桜にちなんだお祭りやイベントも多く開催されます。さまざまな楽しみ方のある北海道の桜について、特におすすめの花見スポットをご紹介していきます。
1.約1万本の桜がおもてなし「松前公園」【道南】
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北海道の桜の開花は、道南から始まります。函館から車に乗り約2時間で、松前城がある松前公園に着きます。この公園には一重咲きのソメイヨシノや、八重咲きのナデンという桜など約250種1万本もの桜が植えられています。早咲き、中咲き、遅咲きとさまざまな桜があるため、一か月にわたって桜を楽しむことができます。
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例年、4月下旬から5月中旬にかけて開催される「松前さくらまつり」では、海の幸やスイーツが並ぶ物産フェアや歌謡ショーなど、さまざまなイベントが行われます(イベント内容の変更、中止の可能性あり)。公園内では「桜ソフトクリーム」も味わえます。
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松前公園
- 住所 〒049-1511 松前郡松前町字松城
電話番号:0139-42-2726(問い合わせ:松前観光協会)
2.地上から空から桜を楽しむ「五稜郭公園」【道南】
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函館市もまた、北海道ではいち早く4月下旬から桜を楽しめる地域です。国の特別史跡に指定されている五稜郭は、現在は公園として開放されており、有名な花見スポットとして知られています。地上の指定エリア内では桜を楽しみながらジンギスカンを味わうことができます。
五稜郭公園の桜を一味違う眺めで楽しめるスポットが、公園に隣接する高さ107メートルの五稜郭タワーです。ソメイヨシノを中心とした約1,500本の桜が花開くと、星型の敷地が一面ピンク色に彩られた美しい光景が眼下に広がります。
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3.19種類もの桜「森町・オニウシ公園」【道南】
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函館市から北へ、車で約1時間の森町にも、桜の名所であるオニウシ公園があります。「オニウシ」とは、アイヌ語で「木が多く茂っているところ」という意味です。
公園内には19種、約500本の桜が植えられており、4月下旬〜5月中旬にかけて次々と開花します。ソメイヨシノ、オオヤマザクラのほか、駒見桜(コマミザクラ)、堀井緋桜(ホリイヒザクラ) など森町にしかない希少な固有種の桜もあります。
特に駒見桜は、堀井緋桜とソメイヨシノを交配した桜「森小町」を育成している途中で生まれ、本数の限られた貴重な品種です。
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オニウシ公園の隣にある道の駅「YOU・遊・もり」は、屋上ラウンジから桜と森町が一望できるスポットです。
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森町・オニウシ公園
- 住所 〒049-2311 北海道茅部郡森町字上台町326-1
電話番号:01374-2-2181(問い合わせ:森町役場 商工労働観光課)
4.歴史ある桜の名所「円山公園」【道央】
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5月に入ると桜前線は道央に入ってきますが、都市で気温が高めの札幌には、早い年には4月中に桜前線が訪れます。そんな札幌で、古くから桜の名所として親しまれる公園が円山公園です。地下鉄東西線「円山公園駅」から徒歩5分。
園内にはエゾヤマザクラ、ソメイヨシノなど約150本の桜が植えられており、4月下旬〜5月中旬に見頃を迎えます。国の天然記念物に指定された円山原始林の北側に位置する公園内では野生のリスや野鳥が観察でき、北海道の自然を間近に感じることができます。
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円山公園に隣接する北海道神宮の桜もまた格別です。また、北海道神宮には梅林があります。本州の多くの地域では梅は2〜4月、桜は3〜4月と少しずれて開花しますが、札幌では梅と桜がほぼ同時期に開花。つまり、北海道神宮は桜と梅を一度に楽しむことができる場所です。
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住所
060-0821 北海道札幌市中央区北1条西28丁目1-15 プレジャー円山
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最寄駅
西28丁目 駅 (東西線)
徒歩6分
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住所
060-0821 北海道札幌市中央区北1条西28丁目1-15 プレジャー円山
5.花のトンネルと化す「登別桜並木」【道央】
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新千歳空港から車で約1時間の場所にある、JR登別駅から登別温泉へ向かう道中にある桜並木です。1934年に当時の皇太子(現在の上皇)の誕生を記念して、市民が植樹したエゾヤマザクラが約2kmに渡り続いています。5月上旬から中旬にかけて見頃を迎え、桜のトンネルとして市民に親しまれています。
登別は温泉地として有名で、温泉街はもちろん噴火活動によってできた火口跡「登別地獄谷」や、森林浴をしながら楽しめる天然の足湯など、たくさんの観光スポットがあります。
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登別桜並木
- 住所 〒059-0463 北海道登別市中登別町
電話番号:0143-84-3311(登別国際観光コンベンション協会)
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住所
059-0551 北海道 登別市登別温泉町100
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最寄駅
登別 駅 (室蘭本線)
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住所
059-0551 北海道 登別市登別温泉町100
6.日本屈指の規模!「二十間道路桜並木」【道央】
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二十間道路桜並木は、新千歳空港から車で約1時間30分の場所にある新ひだか町にあります。約2,200本の桜が直線約7キロメートルに渡って続く美しい桜並木です。
この道路は、かつてこの地にあった宮内省(現在の宮内庁)の御料牧場を視察する皇族の行啓道路として造成されたのがはじまりとされています。
近隣の山々から、エゾヤマザクラを移植した1916年当時、道幅が日本の単位で二十間(約36メートル)あったことから、二十間道路と呼ばれるようになりました。
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「日本の道百選」「さくら名所100選」「北海道遺産」などに選定された名スポットで、全国各地から多くの観光客が訪れます。開花時期の、5月上旬から中旬には「しずない桜まつり」が開催され、お土産などが販売されます。また、桜まつり開催期間限定で「龍雲閣」が一般開放され、国宝級の貴重な品々が展示されます(2025年1月現在未定)。
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住所
056-0144 北海道日高郡新ひだか町静内田原~静内御園
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最寄駅
静内 駅 (日高本線)
- 電話 0146-42-1000
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住所
056-0144 北海道日高郡新ひだか町静内田原~静内御園
7.自然とアートが融合「モエレ沼公園」【道央】
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彫刻家であるイサム・ノグチが設計したモエレ沼公園。札幌市街地から車で約30分の距離にあります。約188.8ヘクタールの広大な敷地には、ガラスのピラミッドや大きなモニュメントなどがあり、エリアごとにさまざまなアートが楽しめます。
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その中の一つ「サクラの森」が、モエレ沼公園の花見スポットです。7つの遊具エリアを囲むように約1,600本の桜が植えられており、5月上旬になるとエゾヤマザクラを中心に、カスミザクラやチシマザクラなどが咲き誇り、エリア一帯が桜に包まれます。子ども連れでお花見を楽しめる人気スポットです。
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8.歴史的建造物と桜のコラボが楽しめる「中島公園」【道央】
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中島公園は、札幌の繁華街・すすきのから南側に約9分歩いたところにあります。中島公園には約400本もの桜があり、エゾヤマザクラ、ソメイヨシノ、ヤエザクラなど、さまざまな種類の桜が咲きます。見頃は4月下旬から5月上旬ごろです。
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また園内には、歴史的建造物もあります。日本庭園にたたずむ茶室「八窓庵(はっそうあん)」や、明治初期の代表的な木造洋風建築「豊平館(ほうへいかん)」と桜の共演はとても風情があり、春の札幌で一度は見ておきたい名スポットです。その他、ソメイヨシノの桜並木やシダレザクラの美しい日本庭園なども見どころ。ぜひ散策してみてください。
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住所
064-0809 北海道 札幌市中央区南九条西4丁目1-2
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最寄駅
中島公園 駅 (南北線)
徒歩2分
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住所
064-0809 北海道 札幌市中央区南九条西4丁目1-2
9.札幌中心部のお花見スポット「大通公園」【道央】
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札幌市の中心部に約1.5キロメートルにわたって伸びている大通公園。札幌市民の自然あふれる憩いの場所であり、桜スポットの一つでもあります。5月上旬になると約50本の桜が咲き誇ります。桜の種類は、エゾヤマザクラ、サトザクラ、ソメイヨシノが多く、その他にもカスミザクラ、チシマザクラ、ミヤマザクラなども見られます。
例年4月下旬になると大通公園では、「とうきびワゴン」が営業を開始します。北海道産のとうもろこしを味わいながら、桜を楽しむのもおすすめです。春には桜以外にも、ツツジやチューリップなどが咲き、見る人々を楽しませます。
大通公園内にあるテレビ塔の展望台からは、春の大通公園を見下ろせるほか、札幌の街並みまで見渡せます。ぜひのぼってみてくださいね。
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住所
060-0062 北海道 札幌市中央区南2条西5-29-2
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最寄駅
西4丁目 駅 (札幌市電山鼻線)
徒歩4分
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住所
060-0062 北海道 札幌市中央区南2条西5-29-2
10.ボートから桜を楽しめる「月寒公園」【道央】
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札幌中心部から少し離れた月寒公園は、地下鉄東豊線美園駅から徒歩5分の距離にある公園です。テニスコートやパークゴルフ場などのスポーツ施設や遊具などがあり、子どもから大人まで楽しめます。
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約22ヘクタールほどの公園内にはエゾヤマザクラや、枝が垂れ下がったシダレザクラなどの数十本の桜が見られます。園内を散歩しながら桜を楽しむのも良いですが、おすすめスポットはボート池!池の周辺にある桜を、ボートから眺めることもできます。4月末〜5月中旬ごろが見頃です。
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月寒公園
- 住所 〒062-0011北海道札幌市豊平区美園11条8丁目1
電話番号:011-818-3150(月寒公園管理事務所)
貸ボート
営業期間:例年4月下旬〜10月中旬(予定)
営業時間:例年10:00〜17:00(最終乗船16時30分)
料金:例年1艘320円(30分)大人3名まで
定休日:例年火曜(祝日の場合は営業)
11.約3,500本ものエゾヤマザクラは圧巻!「旭山公園」【道北】
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桜前線が道北エリアに達するのは、例年5月に入ってから。旭川市の東部、標高295mの旭山のふもとに広がる旭山公園では、約3,500本のエゾヤマザクラが5月上旬に見頃を迎えます。満開の時期には露店が出店し、多くの人でにぎわいます。
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また、同時期に開催される「夜桜まつり」では、美しい桜をライトアップ。昼間とは違う雰囲気で桜を楽しむことができます。公園は旭山動物園と隣接しているため、家族連れにおすすめです。
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旭山公園
- 住所 〒078-8205 北海道旭川市東旭川町倉沼
電話番号:0166-52-1934(公益財団法人旭川市公園緑地協会)
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12.遅咲きの桜の名所「清隆寺」【道東】

桜前線のゴール地点とされている桜の名所が、道東エリアの根室市にある清隆寺です。見頃は5月中旬から6月上旬で、北海道の代表的な桜であるチシマザクラやエゾヤマザクラが咲いています。
チシマザクラは明治2年に国後島より根室市に移植され(当時は「クナシリザクラ」と呼ばれていました)、明治36年に清隆寺の境内に移植されました。
道内の多くのチシマザクラの源流は清隆寺と伝えられています。チシマザクラは背が低く根元から枝が分かれていることが特徴。花の位置が低いことから、より香りを楽しむことができます。
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清隆寺
- 住所 〒087-0044 北海道根室市松本町2丁目2
電話番号:0153-24-3104(根室市観光協会)
【番外編】電車と桜とのコラボレーションも必見!
北海道の各地ではJR北海道の列車と桜のコラボレーションも見ることができます。
おすすめは、南小樽駅敷地内の桜。木々が風に揺られ桜吹雪が舞う中、列車がゆっくりと駅のホームに到着する様子は、ノスタルジックな趣を感じることができます。
▼動画をチェック▼
南小樽駅は、札幌駅から快速エアポートで約30分でアクセスでき、小樽運河沿いの観光ストリートの端にあるメルヘン交差点(小樽オルゴール堂本館があるところ)から徒歩5~6分のところにあります。運河沿い散策から足を延ばして訪れてみてください。
▼動画をチェック▼
駅前広場、ホームから見上げる桜の風景も一興。見頃は4月下旬~5月上旬。お気に入りのフォトスポットを見つけてみてくださいね。
ほかにも、JR千歳線の新札幌駅~上野幌駅間で、住宅街にある小さな公園の桜の木のすぐそばを列車が通り抜けます。新千歳空港~札幌間を移動する際に通るスポットなので、ぜひ車窓からの眺めも楽しんでみてはいかがでしょうか(新千歳空港からの列車の場合、進行方向の左手に見られます)。
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Text by:みんなのことば舎
※本記事の情報は2025年1月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください
札幌の地元タウン誌の編集に長年携わった編集者が設立。設立以降、20年以上にわたり、札幌を中心に北海道全域での取材・記事執筆を行い、観光ガイドや情報誌、北海道の景色を収めた写真集など多様な本も制作。スタッフは全員女性で、旅好き、スイーツ好き、お酒好きと趣向は様々。飲食店紹介からイベントレポート、レジャー体験記まで、発信の守備範囲は広い。
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