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日本を訪れる観光客にとって、山梨県の富士山・河口湖エリアで絶対に外せないグルメと言えば、山梨の郷土料理「ほうとう」。この地を訪れるなら一度は味わいたい伝統の味です。
そこで本記事では、「食べるのが一番の至福の時」というLIVE JAPAN台湾人スタッフの陳さんと、「旅の一番の目的は食!」というグルメ&旅ライターの島田みゆが、河口湖周辺で絶品のほうとうを楽しめる人気レストランを厳選して3つご紹介します。味も外観もこだわりを感じる個性的なお店、地元の人から観光客まで愛される老舗、モダンなほうとうレストラン、とそれぞれ特徴的なお店をピックアップ。実際に訪れて感じた味わいや、店舗の雰囲気などもお伝えします。
そもそも「ほうとう」とは、どんな食べ物?
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「ほうとう」について
ほうとうは、山梨県民に親しまれている代表的な郷土料理のひとつ。小麦粉で作った太く平たい麺と、かぼちゃをはじめ芋やキノコ、ネギや白菜といったたっぷりの季節の野菜を味噌ベースのスープで煮込んだ料理です。日本の家庭料理の定番である味噌汁のようでありながら、麺が主役の麺料理で、かつ冬は体が温まる鍋料理としても人気の一品です。しっかりした麺の食感と、野菜がたっぷり入っているので栄養バランスの良さが魅力で、2007年には農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれています。
同じく小麦粉が原料のうどんと似ていますが、ほうとうは作り方が少し異なります。うどんは塩を入れて生地を打ち、寝かせてから切りますが、ほうとうは水と小麦粉だけで生地を打ち、寝かさずにすぐに切って調理します。
ほうとうの起源
ほうとうの起源は、日本の戦国時代(16世紀頃)にさかのぼると言われています。当時の甲斐国(現在の山梨県)を治めていた武将・武田信玄の陣中食(戦場での食事)として生まれたという話が有名です。以降、庶民の日常食として長く親しまれています。名前の由来は、平安時代にあった「餺飥(はくたく)」といううどんのようなものの発音がなまったとされる説、武田信玄が食材を自分の刀で切ったことから「宝刀(ほうとう)」と名付けたという説など、諸説あります。
山梨における、ほうとう文化
山梨県では、ほうとうは家庭で作られることが多く、季節ごとの旬の野菜が使われます。中でもカボチャは甘みを引き出してくれるほうとうには欠かせない食材で、味の決め手にもなります。とはいえ、絶対に入れなければならない具材や作り方の決まりはなく、地域や家庭、お店ごとにいろいろなアレンジが楽しめます。
富士山にかかる雲をイメージした外観&ほうとうひとすじのこだわりがウリ!:ほうとう不動 東恋路店
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かわいらしい白いドーム型の建物が特徴的な「ほうとう不動 東恋路店」。ユニークでインパクトのある店舗デザインは海外でも人気で、よくSNSでも紹介されており、多くの外国人観光客が来店しています。もちろんそれだけでなく、味も人気の理由。ほうとうのメニューは1種類だけと、まさにほうとう一筋、専門店らしいこだわりです。
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こちらがユニークな店舗外観。富士山にかかる雲が降りてきたようなイメージで作られたといい、天気がいい日には富士山をバックに本当に雲がかかったような絶景を見ることができます。
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店内は、全体が白い壁で統一された広々とした平屋建て。約300席を設けているので、混雑時でも比較的回転は早い方です。
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ロゴマークや鍋敷きのかわいさにも注目したいところ。また木のお玉もレトロ感があり、まるで日本の昔話の世界に入り込んでしまったようです。
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こちらが一種類のみのこだわりの「不動ほうとう」(1,320円)です。まずは一人前のお鍋の大きさにびっくり!今回紹介する店舗の中で、どこよりも大きなお鍋でやってきました。
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ほうとうの麺は柔らかめのところが多いですが、こちらの麺はかなりしっかりコシがあります。またスープが絶品。それもそのはず、「魚介やお肉で出汁をしっかり取っていて、スープにはこだわっているんですよ」とスタッフさん。野菜はキャベツ、玉ねぎ、にんじん、カボチャ、いんげん、きのこ、白菜、ネギなど種類豊富で野菜の旨味もたっぷりです。「野菜がたっぷりなので、全体的にとてもさっぱりしています。旅行中は脂っこいものや味が濃いものが続きがちですが、これなら胃が休まる感じがしていいですね」と台湾人スタッフの陳さんは、特にこちらのほうとうがお気に入りで絶賛していました。
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サイドメニューのおすすめはいなり寿し(550円)で、昔から人気の品だそう。甘く煮つけた油揚げに、たっぷりの酢飯が中に入っている日本のソウルフードのひとつです。じゅわっと染み出る甘い煮汁が、ますます食欲をそそります。
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もう一品は、もつ煮(580円)。しっかり食感で濃厚な味噌味の豚モツは、ほうとうの優しい味とコントラストが生まれ、副菜にぴったりです。
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ほうとう不動に来たからこそ買えるお土産の数々も見逃せません。食卓をかわいらしく演出してくれる富士山型の調味料入れ(お店でも使用中)、オリジナル柄の手ぬぐい、だしパック、最近販売がスタートしたという生麺など、ほうとう不動オリジナルのさまざまな商品が販売されています。旅から帰ったあとも“山梨のほうとう”の思い出に浸ることができるアイテムです。
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ほうとう不動 東恋路店
- 住所 〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津東恋路2458
- 電話 0555-72-8511
<営業時間>11:00~20:00
※平日16時以降に来店の場合は、電話にて閉店時間を要確認
<定休日>不定休
<支払い方法>現金のみ(クレジットカード、電子マネー、QRコード決済不可)
ゴロゴロ具材がたっぷり!メニューも豊富な古民家風店内も魅力:甲州ほうとう 小作
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山梨県や長野県に9店舗を運営する郷土料理レストラン「甲州ほうとう小作」。名物の「かぼちゃほうとう」をはじめ、鴨肉ほうとう、熊肉ほうとう、きのこほうとう、辛口カルビほうとうなど、ほうとうだけでもなんと10種類以上!さらに、ご飯もので天重(天ぷら重)やロースかつ御膳、ざるそばなど和食の定番メニューも豊富にあります。また、お酒のおつまみや副菜にもいい馬刺身やわかさぎの唐揚げなど、一品料理も充実しています。
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日本の古民家を思わせる雰囲気たっぷり、とてもインパクトある店舗。大きな水車も目印です。
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靴を脱いで座って食べる座卓式も、日本らしい店内。靴を脱いだら玄関の下駄箱に入れ、席までは店員さんに案内してもらいます。ワンフロアで総席数は200席、テーブルごとの空間にもたっぷり余裕があります。
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一番人気のメニューが、こちらの「豚肉ほうとう」(1,700円)。これぞほうとうと言わんばかりの、王道のほうとうです。他店よりもかなり大きな具材が特徴で、かぼちゃ、しいたけ、ニンジン、さといも、がゴロゴロ入っています。
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かぼちゃと豚肉の甘みと旨味が味噌味のスープに溶け出し、ほうとうならではのまろやかさが全体に広がります。そんな濃厚スープが、太くもちもちしている麺にしっかり絡みます。どこか懐かしくて、毎日でも食べたくなる、ほっとするおいしさ。さらにたっぷり入った山菜の塩気がいい具合に味のアクセントになっていて飽きることがありません。「食べ応えある麺と日本料理らしい山菜が一緒に食べれられて、とても満足です」と陳さん。
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メインのほうとうとあわせて、甲州ほうとう小作を訪れたらぜひ味わってほしいのが「あずきほうとう」(1,400円 ※写真はハーフサイズ:850円)。山梨郷土料理の一つで、昔から地域行事や祝い事の際に食べられてきたものです。お餅の代わりのほうとうの麺を入れた、ぜんざい(あずきを砂糖で甘く煮て、お餅や白玉団子を入れて食べる伝統的な日本のスイーツ)のようなもの。あずきの豆のつぶつぶ食感が楽しく、お餅よりもあっさりと甘すぎないので、お腹いっぱいにも関わらず私もサラっと食べてしまいました。「甘い味の麺を食べるのは初めてでしたが、違和感は全くありません。新鮮な食感であずき好きな人におすすめですね」と陳さんも気に入っていました。メインのほうとうとは違って、デザート感覚でいただけます。
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ほうとうがメインでありながら、それ以外のメニューも多いので、老若男女、どんな好みがあっても必ず食べたい和食メニューが揃っています。 地元客でにぎわうお店ですが、観光客にも 特におすすめです。もちろん、英語メニューもあるのでご安心を。店内の一角では、オリジナルの味噌や出汁などお土産品も販売しています。
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甲州ほうとう 小作 河口湖店
- 住所 〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津1638−1
- 電話 0555-72-1181
<営業時間>11:00~20:00
<定休日>なし
※臨時休業の場合はHPに掲載
<支払い方法>現金、クレジットカード可(電子マネー、QRコード決済は不可)
山梨県の誇り!具材もメニューもこだわった「日本一のほうとう」:ほうとう蔵 歩成 河口湖店
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昭和54年創業、県内に2店舗のほうとう専門店を構える「ほうとう蔵 歩成」(他、居酒屋形態が1店舗あり)。河口湖店は、2017年8月にオープンした新店です。どのお店よりも輝く黄金色のスープと、モダンな店内とオリジナリティあふれるほうとうメニューが特徴的な、オシャレなほうとう専門店です。
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ほうとう蔵 歩成は、山梨県で開催されている「昇仙峡ほうとう味くらべ真剣勝負」で3年連続優勝を果たし殿堂入り!参加者の投票によって選ばれた結果とのことで、ほうとうの本場である山梨県民の多くの支持を受けた“日本一のおいしいほうとう”の称号を手に入れているお店なのです。
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店内は店名の通り蔵をイメージしたモダンなデザインで、和のエッセンスを取り入れつつもとてもスタイリッシュ。靴を脱いで上がるスタイルながらテーブル+椅子に腰かけるタイプの席なので、外国の方には使いやすい設計です。席は200席と多いですが、お昼時には連日行列になる人気店です。
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天気のいい日には、甲冑+富士山というここでしか見られない何とも神々しい景色を拝むこともできます。
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一番人気の「黄金ほうとう(豚肉入り)」(1,650円)。このメニュー名の黄金たる所以は、味噌にあります。スープのベースとなる味噌は、厳選した赤味噌と白味噌、しいたけと昆布、かぼちゃのペースト、京都のだしを絶妙なバランスで配合。さらに、コクと深みの決め手となる山梨名産のアワビの肝のペーストも加えています。唯一無二のおいしいスープはこれだけの素材がうまく調和しているからこそだと納得です。
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ほうとう蔵歩成では、季節に合わせた限定のメニューが楽しみのひとつ。過去のラインナップでは、冬ならカキや伊勢海老、夏なら冷やしほうとうなど、さまざまな新メニューが味わえます(年によって変更)。取材時の11月上旬の季節限定メニューは「渡り蟹入り黄金ほうとう」(2,200円)。運ばれてくるなり、テーブルにはカニの芳醇な風味が広がり、贅沢な気分になりました。
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カニのだしがたっぷりのスープは、定番の黄金ほうとうとは全く違った味わいで、こんなにも違うのかと驚くほどです。身も甘くたっぷり詰まっています。家族や友人と一緒なら、複数のほうとうをオーダーしてシェアしながら食べ比べると、いろいろな味わいが楽しめて、奥深さも感じられます。今まで食べたことのない味のほうとうに、陳さんも私も感激しっぱなしでした。「台湾の方も、きっとこれは好きだと思います!」と陳さん。
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郷土料理かつ家庭料理でもあるほうとうが、ワンランク上のおしゃれな一品に感じられるのが、歩成のほうとう。各テーブルにある特製辛味噌を加えると、ひと味もふた味も変わり、新たなおいしさに出会えます。家庭ではなかなか食べられない極上ほうとうを味わいに、また季節ごとのほうとうも楽しみに、シーズンごとに足を運びたくなります。せっかく日本の山梨県まで来たのであれば、一番人気の黄金ほうとうと一緒に、日本の旬を味わえる限定メニューも食べるのがおすすめです。
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ほうとう蔵 歩成
- 住所 〒401-0301 山梨県南都留郡富士河口湖町船津6931
- 電話 0555-25-6180
<営業時間>11:00~21:00
<定休日>なし
<支払い方法>クレジットカード、電子マネー、QRコード決済利用可
富士山の麓で食べる絶品「ほうとう」、お気に入りの味はどれ?
山梨県河口湖の魅力が詰まった郷土料理「ほうとう」。 日本麺類代表のラーメンと比べると、特に味が素朴で優しく、心に染み入るような味わいです。野菜がたっぶりでスープには旨味が溶け出し、栄養バランスもよく、海外の方でも毎日でも食べれる料理ではないでしょうか。そして富士山を眺める絶好のロケーションで食べるほうとうは、旅の疲れを癒しながら、日本観光ならではの充実感を高めてくれるはず。どのお店もそれぞれ違った魅力があるので、自分好みのほうとうの味を探すべく、何軒かはしごする食べ歩きの旅もおすすめです。お腹も心も満たされるおいしい旅の思い出を作ってくださいね。
※価格はすべて税込み、2024年11月現在の情報です。メニューや価格などは予告なく変更される場合があります。最新の情報は公式HPでご確認ください。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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