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もし東京を11月に訪れるなら、あなたはラッキーだ。江戸時代から続く、酉の市という開運のお祭りを見ることができるからだ。酉の日の真夜中を迎えると同時に、そのお祭りは始まる。開運と商売繁盛を呼び寄せるという熊手を売る店が、バラエティ豊富なデザインを取り揃えて所狭しと並んでいる。商売をしている人や会社帰りの人がお客様となってここを訪れ、自分たちにぴったりの熊手を購入するのだ。このお祭りを見逃すまいと、カメラを掴んで、浅草へと繰り出した。
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酉の市とは?
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遡ること江戸時代。そもそもは収穫祭として始まったもので、浅草寺に奉納された雄鶏を解き放つという類似の行事から生まれたものだとか。以来、長い歴史の中でお祭りの形が変化し、現在では、健康、開運、商売繁盛を祈るために多くの人々が集まるものとなった。そして酉の市の特徴は、何といっても竹製の熊手。幸せと繁栄をもたらすといわれていて、美しい装飾がふんだんに施されているのだ。
なぜ熊手?

開運と商売繁盛を願うための熊手。「運をかき込む」「金銀をかき集める」道具の象徴なのだとか。種類も色々あり、時代とともに形も飾りも変わってきている。江戸中期より天保初年頃までは柄の長い実用品の熊手に、おかめの面と四手をつけたものだった。その後は、宝船、桧扇、御所車など多くの種類の飾りが生まれ、現在は猫や犬、パンダ、そして肉球が印象的な巨大な猫の手も!
お買い物交渉術!?
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大勢のお客様の波にもまれながら、100以上の熊手の店が与える何百という幅広い選択肢に、圧倒された。しかし幸運なことに、浅草で育ったという日本人に同行してもらっていたので、熊手の選び方や、伝統的な買い方を教えてもらうことができた。
店を充分まわってお気に入りを見つけたら、店頭でじっくりと品定めをする。そして店の方と値引き交渉をするのだ。例えば5万円の熊手が欲しかったら「4万円で。」と交渉開始。「だめだめ!それじゃ泥棒だよ。48000円でどうだい?」「いや、まだちょっと高いな。42000円では?」「申し訳ないね、47000円までだな。」「そこをもう一つ!」「じゃ45000円でいいよ!」といった具合だ。
しかし実際は45000円ではなく50000円を手渡す。お釣りとして5,000円をくれるが、そこは「ご祝儀で」といって、店の方に差し上げるのだ。これが粋な買い方なのだとか。
賑やかな手締め
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酉の市での特徴は、きっと夜通し聞き続けるであろう独特な儀式、手締めにもある。熊手を購入すると、店の人々が揃って集まり、リズミカルに手を叩きながら、健康、開運、商売繁盛を祈ってくれるのだ。生き生きとした掛け声はお祭り全体を活気付け、手締めは酉の市になくてはならない存在となっている。3時間ほど会場にいたが、優に100以上の手締めを聞いたと思う。長年にわたって伝統を大事にしている地元の人々を見ていると、自然と微笑みがこぼれるだろう。
酉の市はいつ始まるの?
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11月の酉の日の真夜中になると、一番太鼓が鳴る。そこから24時間、ぶっ続けで祭りが催され、多くの熊手の店、食べ物の屋台、おみやげの店などが活気付く。11月に酉の日が2回ある時は二の酉、3回は三の酉といわれる。また日本人にとっては、正月が近づいてくることを感じさせる行事でもあり、正月を迎える高揚感と、この一年お世話になった感謝の意をこめて、酉の市での別れ際の挨拶は「さよなら」や「またね」ではなくて、「良いお年を。」となるそうだ。
これは絶対体験してほしい!
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多くの人々の掛け声や手締めを聞いていたら、だんだん、自分もこのお祭りの一部になりたいと思えてきた。実は会場に到着した時から気になっていた猫の熊手。その店へ行き、伝統に則って金額交渉をしてついに購入!お釣りはもちろん、ご祝儀に。5~6人のお店の方が自分を囲み、「家内安全、商売繁盛。よ~っ!」という掛け声に始まり、威勢よく手締めを行ってくれた。これは現実を超越しているといっても良い体験だった。
すでに夜中の2時だったが、店の人々や他のお客さんたちの活気あふれる雰囲気のせいか、完全に起きていた。満足の笑みを顔に浮かべながら会場を去ると、来年ここへまた来て、この経験を最初からもう一度堪能するのが、もうすでに楽しみになっていた。
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