
江戸時代後期の1834年、江戸大伝馬町のビイドロ屋、加賀屋久兵衛がガラスの表面に彫刻したことが始まりといわれる日本の伝統技法、切子(きりこ)。独特の柄模様や、カッティングの優れた技法の多くが江戸時代の職人によって生み出されたため、「江戸切子」と呼ばれるようになりました。現在でもその技術を受け継ぐ職人がいる工房「浅草おじま」では、その制作体験ができます。この日は海外からの留学生ふくむ9人の学生達の体験の様子をレポート!
ガラスに模様を刻む日本の伝統工芸を体験

「とてもきれいだけどこんなに高いんだ! びっくり」
「細かくなければできそう。どんな模様にしようかな」
教室の講師、尾島英治さんは、現在3代目の江戸切子師。職人になるには10年かかるという技術を1984年から父親の尾島信夫さんについて学び、現在は制作活動の傍ら、体験教室を開催しています。

学生9人が集まった教室では、英治さんのレクチャーからスタート。実際の江戸切子製品を見て、江戸切子の歴史や、回転する金盤(かなばん)や砥石を使ったガラスを削る機械の説明と使い方を聞いた後、早速オリジナル切子の制作が始まります。
3種類の透明なグラスから好きな形を選び、まずは下絵を描くことから制作開始。みんな思い思いのデザインを思い浮かべたり携帯で調べたりしながら、油性ペンでグラスの表面に絵を描いていきます。

「自分の名前を書きたいな」
「ちびまる子ちゃんを描く!」
「日本っぽいもの、富士山とか桜がいいな」
夢は広がります。下絵が完成したら、さっそく機械の前へ。
いざ削ってみると……職人の技術の高さを実感!

歓声が上がっていたのもつかの間、みんな削ることに集中して、話声が止んでいきます。ガラスの表面を削るとはいえ、よほどのことがないかぎりは割れないそうで、そうならないように英治さんや教室のスタッフが見ていてくれます。
「すぐにきれいなものができると思っていたけど、作ろうとしてみると思うようにできない! 難しい」
「一定の力加減と正確さが必要なので、集中力が必要」

自分で作ってみることで、見本として並ぶ切子製品の技術の高さをあらためて実感した学生たち。自分にできるテクニックに見合うよう、複雑すぎた最初の下絵をシンプルなものに変更する人も。

「なかなか狙った場所を削れないんですよ」
「こんなに大変なものだとは思っていなかったです。少し高みを目指して作ろうとしたんですが、難しいですね」
と言いながら、みな夢中になって機械に向かっています。周囲の声がまったく聞こえなくなるほど集中している人も。
日本文化を深く感じられる体験
教室開始から約1時間半で、全員のグラスが完成。できたものを見せあいながら、お互い褒め合ったり、写真を撮り合ったり。作ってみた感想は?
「美しい切子グラスの値段が高い理由がわかりました。高い技術を持つ職人さんを尊敬します。はじめは緊張しましたが、作っているときは没頭できました。何事も心をこめればできるとわかったし、日本の伝統文化を深く感じられます」(国籍:ベトナム)
「最初思い描いていたデザインとは若干違うものができたけれど、自分の手作りのものができたという満足感があります」(国籍:日本)
「日本文化について新たな知識を勉強できました。体験できて本当に楽しかったです。外国の方だけでなく、日本の方もぜひやってみてほしい」(国籍:中国)
「江戸切子の製品を見たときは、どっしりと存在感があるものだと思ったのに、自分で作ってみるとはかなく見え、自分の作品に自信がなく迷っているからだと思いました。自分の心を映し出す鏡のようなものだなと思います」(国籍:日本)
「自由にデザインして作れるから、すごくいい思い出になりました」(ベトナム人学生)

作ったグラスは、割れないように梱包材と箱に入れて持ち帰ることができる。浅草寺近くにあるこちらの工房、手軽な手作り文化体験としてぜひ立ち寄ってみては?
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切子工房 浅草おじま
- 住所 4-49-7 Asakusa, Taito-ku, Tokyo-to 111-0032

・切子の体験教室(予約制・英語可)
<大人> 4860円(税込) グラス、またはペーパーウェイトから選べる
<小・中・高生> 2700円(税込) ※小グラスでの制作、小学生は6年生より
※プラス540円で 切子グラス、小瓶などおみやげ付き
・問い合わせ・予約
代表TEL03-4285-9664、
FAX03-3875-6771
mail:asakusa-ojima@edokiriko.jp
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